クプナプログラム


昨日のLei Huluクラスでなぜかアメリカの教育問題で討論がはじまり、ものすごく盛り上がってしまいました。
なぜ十代の妊娠が多いのか、なぜ子供たちはキレるのか、各自が自分の経験を語るのですが、その中でハワイの「クプナプログラム」のことを知りました。


これは長い間ハワイの小学校などで行われているプログラムで、クラスに地元のクプナ(お年寄り、長じて人生の「専門家」)がやってきて、オハナとは何か、アロハとはという観念的な話から、ラウハラ編み、フラ、ウクレレハワイ語などハワイ文化を教える課外授業のようなもので、これによっていかに子供たちが大きな恩恵を受けているか、一人のクプナが熱く語ってくれました。


ハワイでは自然に囲まれて皆で仲良くアロハに楽しく暮らしているようなイメージがありますが、外からやってきた人はともかく、実際は一般の人の暮らしは楽ではなく、公立校のレベルも全米でもハワイはかなり低いことで知られています。2つ3つの仕事を掛け持ちしている親も多く、暮らしがまず第一で子供と過ごす時間は後まわしになっていて、親に愛されていないと感じることで非行に走る子供も少なくはないそう。


そうした子供たちを救うのがクプナで、親から抱きしめてもらったことがない子供にオハナやアクア(アメリカの公立校では宗教について話をするのはタブーですが、ハワイ古来のアクアはOK)について教え、正しい道へ導く手助けをするそうです。クプナによって何を子供たちに教えるのかは異なりますが、その根底に流れるのは子供たちへの深い愛で、人生経験を積んだクプナならではの知恵や知識が世代を超えて伝えられていきます。
クプナと接することで、子供たちは年配者への尊敬の念を強くし、クプナはこのボランティア活動を通して無垢な子供に接する喜びを得ます。


私はこのクプナという言葉、そしてハワイでクプナが尊敬されていることをとても素晴らしいと思います。


話は飛びますが、先日、日本に行った時にシルバーシートで若者や子連れの若い母親がどっかと座り、身体障害を持っていそうなお年寄りが立っていたという光景を何度も目にしました。私が日本に住んでいた時から、こうしたことはありましたが、少なくとも当時は気まずさを隠すため「寝たふり」はしていたと思います。でも最近はそれすらせず、携帯メールをずっと打っていたり、漫画を読んでいたり…お年寄りに席を譲らないのが当たり前になっていて、本当にビックリしました。席を譲り合うのは、こうした現状を憂うお年寄り同士で、70代の人が80代の人に席を譲る。若者はそれを見ても知らん振り…こういう社会、かなりまずいことになっているのではと思いました。


年配者や親を敬う、「人は人、自分は自分」ではなく、皆が1つの仲間だと思うことで、世の中はもっと良くなるのではないかと思います。


●今日のハワイ語
kupuna (クプナ)
名詞


1. Grandparent, ancestor, relative or close friend of the grandparent's generation, grandaunt, granduncle. hoʻo.kupuna To take a person as a grandparent or grandaunt or granduncle because of affection; an adopted grandparent; to act as a grandparent. (PPN tupuna.)


2. Starting point, source; growing.


お年寄り、祖父母、先祖、知識を積んだ人などいろんな意味があります。複数形はクープナ。kūpuna