パーリーシェルズ
最近なぜかパーリーシェルズ(邦題「真珠貝の歌」)、プープー・アオ・エヴァという曲が気になって、いろいろ調べてみました。
この曲、同じメロディなのですが、♪Pearly Shells〜from the oceanという英語歌詞のものは「パーリーシェルズ」、♪Pupu (a`o `Ewa) i ka nu`a (na kanaka)は「プープー・アオ・エヴァ」として知られており、よくハワイ語→英語に翻訳しただけと思われているのですが、実は歌詞の意味からいうと、まったく異なる作品です。
というのも、これはもともと100年くらい前、カラーカウア王の時代に作られたハワイ語の作品<作者不詳*1>が、後に1930〜40年頃になって、伝説的ラジオ番組、ハワイコールズのDJをしていたウェブリー・エドワーズとレオン・ポーバー*2によって英語歌詞がつけられ、それでヒットしたものだからです。
ハワイ語原曲のタイトルは、「エヴァビーチの貝」。1番では、パールハーバー*3で真珠貝が発見され、そのニュースが大勢に伝わったこと、プウロアを守るサメの姿をした女神、カアフパーハウ(Ka'ahupähau)のことなどが歌われており、2番ではオアフのカアラ山(Ka'ala)、エヴァビーチのポレア(Polea)などの自然の美しさが歌われています。
一方、英語曲のほうは、ぐっとロマンティックに「浜辺の美しい真珠貝を見ていると、あなたを思い、あなたへの愛を実感する」という、キャッチーなラブソングに生まれ変わっています。
ハワイ語の歌には隠喩(カオナ)が多く、貝や花など一見、自然の美しさを歌っているシンプルな歌が、実は貝=女性、花=女性で、実はびっくりするほど濃厚なラブソングだったりすることもしばしばあるのですが、たぶん「プープー・アオ・エヴァ」に関しては、ストレートな裏のない意味どおりの曲のような気がします。
ちなみにハワイでは古くから貝の身は食用、貝殻は装飾用として使われていたことはわかっているのですが、古代ハワイで真珠を珍重したという記録は残されていません。カメハメハ大王の時代になってはじめて真珠やダイヤなどの価値が西洋から伝えられ、真珠の採取がカメハメハの命によって行われるようになりました。しかし、1840年頃までに周辺地域の崖崩れなどによってパールハーバーの海底が泥で汚れたため貝が死滅し、採取自体が不可能になったため、今日ではパールハーバーのパールは幻の真珠となっています。
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もう1つ、ハワイアンミュージックミュージアムのサイトで、パールハーバーについての面白い話を見つけました。
日本軍がハワイのパールハーバーを攻撃したのは、そこにアメリカ海軍の基地があったからなのですが、その建設が最初に行われたのは20世紀初頭のことでした。
1909年にアメリカ海軍は、パールハーバーのドックの建設を開始、地元の漁師、Kapuna Kanakeaweが、「そこはサメの女神の住処だから建設をやめてほしい」と進言したが聞き入れられず、そのまま工事は推し進められてしまいました。しかしさまざまな問題が発生し、工事は難航を極めました。1913年に予定より2年遅れで完成したものの、記念式典で爆発が起こり、死者が出、4年の歳月を費やして建設したドックは壊滅的被害を受けました。1914年にカフナのMrs. Puahi がカアフパーハウの怒りを鎮めるための祈りを捧げ、儀式が行われた後、新たな工事がスタートし、今度は作業がスムーズに進むようになりました。その後、海底からは14フィート(約4.2メートル)のサメの骨が発見されたそうです。(この史実、海軍の公式サイトにも載っている有名な話です)
ちなみに「パーリーシェルズ」の作詞を行ったウェブリーは、1941年に日本軍がパールハーバーを攻撃した際、最も早くラジオでそれを伝えた人物として知られています。
(参考サイト:http://www.hawaiimusicmuseum.org/news/archive/2003/shells.html
http://starbulletin.com/1999/11/15/features/stuffs.html)
http://www.phnsy.navy.mil/timeline/timeline_1909.html
私がこの曲に興味を持つのようになったのは、今、日本に滞在中で、NHKの「えいごリアン」でカヒキナ&カラニさんの踊る、「パーリーシェルズ」を見たからなのですが、「そういえばこれってケアリイ・レイシェルも
レコーディングしている曲だよね」と思いながらちょこちょこ調べていったら、最後はこんな長文(笑)になってしまいました。
がらちょこちょこ調べていったら、最後はこんな長文になってしまいました。
NHKの「えいごリアン」でカヒキナ&カラニさんの踊る、「パーリーシェルズ」
へのリンクはこちら。検索で非常に見つけにくいので、ぜひブックマークを!
http://www.nhk.or.jp/eigorian3/eigorian3/2005/children/fla_dance/index.html