グラミー賞またもや!


第50回目のグラミー賞授賞式が先週日曜日に行われ、またもや、またもや!スラックキーギターがハワイアンミュージック部門で受賞しました。


これにはおそらくほとんどの人が「やっぱりね」と思ったことでしょう。
実際、受賞を伝えたハワイの各メディアはこぞって「Again」を連発していたし、スターブルティン紙によると、ノミネートされているライアテアも「当日はオアフに残って、たぶん昼寝でもしてる」とのことで、期待が薄いのがアリアリと伝わってくるコメントです。


受賞したのは、Daniel Ho Creations制作のアルバム「Treasures of Hawaiian Slack Key Guitar」(Varisous Artists)。レッド・カアパナ、シリル・パヒヌイ、ジョージ&ケオキ・カフモク親子らが参加したコンピレーションアルバムで、今回でスラックキーの受賞は実に「4年連続」です。


グラミー賞は、The Recording Academyのメンバーの投票によって決定されるのですが、全米では18,000人以上いる会員が、ハワイではたった150人しかいません。投票を行うメンバーは、プロの音楽関係者で構成されているのですが、そのほとんどの人はハワイアンミュージックについてあまり知らないし、アーティストの名前だってドン・ホーくらいしか知らない人が大多数を占めると思われます。(注:上記は投票権を持っている会員の概数で、実際に全員がこの部門に投票しているわけではありません)また、そもそもハワイ州アメリカ合衆国の1つなのに、ハワイアンミュージック部門が「World Music」のカテゴリに入れられていることについても賛否両論があります。


今回は50作品がエントリーした中、インストゥルメンタル3作品、ボーカルが2作品ノミネートされました。受賞作品は、タイトルのTreasuresという言葉通りに本当に素晴らしい珠玉のライブレコーディング集で、これについては誰もが認めるところです。ただ、なにをしてもハワイ語のボーカル作品がスラックキーに勝てないという点では、どうしても腑に落ちません。


もしIZ(イズラエル・カマカヴィヴォオレ)が生きていたら…本土でも知名度のある彼だったら…もしかしたら受賞できるかもしれませんが、現状ではたぶんナーホークーハノハノ賞の常連である、カジメロでもケアリイでもハワイ色の強いボーカル作品に、受賞の可能性は低いような気がします。


ハワイアンミュージック部門にインストゥルメンタル部門とボーカル部門の2つがあり、もう少し投票方法が違っていたら、と願わずにはいられません。ちなみにこの「ちょっと不公平じゃないか?」という議論、ハワイでは当然話題になってますが、本土のメディアでは、話題にすらなっていません。残念ですが、これが全米の音楽業界における、ハワイアンミュージックの立場の現状なのです。



●オマケ●
ボーダーズライブ!

グラミーの前日、地元のボーダーズでシリル・パヒヌイ、ティア・カレル&ダニエル・ホー、ジョージ&ケオキ・カフモク、ハーブ・オオタJrらの無料のミニライブ(といっても2時間タップリ)があり、行って来ました。LAのハワイアンコミュニティーの面々がこぞってかけつけ、せまーい会場に200人を越す聴衆が集まりました。ティア・カレルというと、私にとっては映画「ウェインズワールド」のカサンドラのイメージしかないのですが、今年40ウン歳のティア、相変わらずカサンドラなファッションで、セクシー。「アロハオエ」他、5、6曲歌ったのですが、途中から英語の歌のみ。ハワイ語の歌ももろポップス系の歌い方で、これには正直引いてしまいました(彼女にはなんの罪もないのですが、ハリウッドでの知名度のせいで受賞していたらと思うとちょっとオソロシイ)。会場で一番印象に残ったのは、ケオキ・カフモクさんの人の良さで、自分がゲストミュージシャンなのに他のお客さんやミュージシャンのために椅子を用意したり一人でもくもくと裏方仕事をしていて、素敵な笑顔と共にこれだけですっかりファンになってしまいました。この日夜からは、ハリウッドのルーズベルトホテルでハワイアンミュージック部門だけのレセプションがあり、うちのクムもゲスト出演でフラを踊ってきたそうです(Kumu hula Keali'i Ceballos danced a spirited hulaリンク参照)