ハワイの石は誰のもの?


ちょっと気になるニュースがあったので紹介します。

フラ関連グッズの超有名店、あのフラサプライセンターのオーナー夫妻が、マウイ島のビーチから勝手に石を持ち去ったとして、3500ドルの罰金刑を言い渡されました。


この石は何に使うのかというと…


そう、この石はフラの楽器であるイリイリや、ロミロミ(マッサージ)に使うためのもので、バケツ16杯分もの大量の石をワイエフビーチから持ち去り、それがハワイの自然環境を保護する州法違反にあたるとして裁判になっていました。


(イリイリを使ったフラ from Youtube)


マウイ島出身のオーナー、マイケル・コップ氏は、子供の頃から同じ場所でイリイリ用の石を拾っており、近年はオアフ島にある店で販売するために以前より多くの石を拾ってきたが、これまでトラブルになったことはなく、州法についても知らなかったとのこと。


イリイリとして使う石は、川や海にある、表面のなめらかな平らな石を使うのですが、本当にすべすべとした石が自然に作り出されるには、何十年もの時間がかかります。また、イリイリに適した石がある海岸は、ハワイでもそう多くはありません。環境保護の立場からすれば、こういった石を持ち去ることで、その場所の自然が変わってしまうのは事実です。

集められた石は、4個1セット(12ドル)で売られており、16杯=50万円近い石がバケツに入っていたそうです。


ちなみに昨年も、同様の事件があったばかり。オアフ島の別のグループが、モルモン教会のイム(ハワイ式のオーブン)を作り直すために、ココナッツ大の石を千個近くオアフに運ぼうとしたとして、罰金刑を受けています。こちらもマウイで起こった事件なのですが、なぜ次から次へとマウイなのか?というと、これはおそらく格安でマウイ島オアフ島をつなぐ、カーフェリー、「スーパーフェリー」が就航しているから。重たいものを安く運ぶにはぴったりなので、カウアイ島やハワイ島ではなく、マウイなんだろうと思います。


今回の事件は、ハワイ内外のフラ関係者の間で、話題になっており、さまざまな意見が出ています。よく聞かれるのは、「石はきちんとしたプロトコルを経た上で、ダンサー自身が自分で必要なだけ拾うもの。今回のように商業目的で大量に持ち去ることは(法に関係なく)間違っている」という意見。フラがこれほど人気でなかった時代は、クムがイリイリを使ったフラを教えることになった時点で、どのようにして石を選ぶか、どこで石を拾うかきちんと自分の生徒に指導していたので、問題が起きなかったのではないでしょうか。


フラがハワイはもちろんのこと、日本やメキシコ、ヨーロッパで盛んになり、商業的になっていったことで、こうしたプロセスが忘れ去られ、本来は自分で拾うべき石が商品になり、今回のような問題につながってしまった気がします。


●参考サイト
http://www.starbulletin.com/news/20081011_hula_supply_store_owners_fined_for_removing_rocks_from_maui.html
http://www.topix.net/forum/source/honolulu-star-bulletin/TLPUQHUV1788D6PUB/p3
http://www.mauinews.com/page/content.detail/id/509477.html
http://www.honoluluadvertiser.com/article/20081010/COLUMNISTS02/810100342/1005/localnewsfront