2001.9.11.


朝、「大変だよ!」という夫の声で目が覚める。
「ワールドトレーディングセンター(世界貿易センター)が全部なくなった」
というので何事かと思って起きあがり、テレビをつける。


起きて数分くらいは、いったい何が起きているのかニュース映像を見てもまったくわからなかった。夫は「ビルが全部消えた」と言っているのだが、なにかいい間違えているのではないかと思っていた。30分ほど、何度も繰り返し流されるビルにつっこんで炎上する飛行機の映像、そして崩れ落ちるビルとそのものすごい煙を放心状態で見続けて、ようやく何が起きたか理解できた。


ふと気がつくと、もう9時を過ぎていたが、こんな状態で果たして会社に行っても皆仕事できるのだろうか?と思っていた時、
「we will be closing office right now」とHR(人事)から電話があった。続いて夫も会社に電話をかけると、「誰も会社に来てない。自分たちも帰るから、来なくていい」といわれ、結局家にいることに。


ニューヨークとロサンゼルスでは3時間の時差があるため、もう事件からすでに3時間が経過している。ディズニーランドはもちろん、ナッツベリーファーム、ユニバーサルシアター、シックスフラッグスなどの施設が相次いで「本日休業」と発表。また今日、ロサンゼルス・ダウンタウンにあるステープルズセンターで行われるはずだった、マドンナのコンサートも中止。バスケットボールや野球の試合も全国的に中止。またダウンタウンで働く多くの人々は非難した他、連邦関連のオフィスはすべて休業となった。


そして今回の事件が航空機を巻き込んだ事件だったため、アメリカ中の空港が閉鎖され、全便ただちに欠航。すでにアメリカに向かっていた国際線は、空港閉鎖のためカナダやメキシコに緊急着陸しなければならなくなった。ロサンゼルスでも、405号線、105号線などのフリーウェイのうち、空港に向かうEXITが閉鎖され、「LAX closed」とあちこちに警告が出された。


映像のすごさもショックだったが、この「全米の空港閉鎖」という事実が、この事件がいかにアメリカにとっての重大事であるかをよくあらわしているのではないかと思った。


事件の前日、日本のニュースサイトで、東京でアメリカ関連施設などがテロ攻撃に合う可能性ありという報道があり、その時はそれほど深刻にとらえていなかったが、結局それはアメリカ本土のニューヨーク、しかも経済の中心地で起きたのだった。


アメリカ人のショックと怒りは、想像以上だ。気になるのは、テレビで発言しているジャーナリストやコメンテイターの誰もが、「パールハーバー以来のアタック(攻撃)」という言い方をしていたこと。確かに、アメリカが外国によって無警告で攻撃され、多くの人命が失われたということでこんな言い方をする人が多いのかもしれないが、日本人である私にとってはショックを受ける一言だ。


ロサンゼルスでは、連邦関連のオフィスは閉鎖となり、明日水曜日もクローズのままだが、夜10時を過ぎた頃、東海岸に滞在中で足止めをくらってしまったハン市長にかわり、市の広報担当官が「ロサンゼルスは安全です。市のすべてのオフィスは、明日はオープンします」と伝えた。この担当官はアジア系だったが「他民族が住むロサンゼルスでは、住民の心は1つだと思っています。宗教も肌の色も話す言葉も祖先の生まれた国も違うかもしれませんが、このロサンゼルスに住んでいる限り、私たちは皆ロサンジェリーノです。この事件によって、新たな差別が引き起こされることを私たちは望みません」と発言したのが非常に印象的だった。


これは事件の首謀者と見られているのが、アフガニスタンに本拠地を置くサウジアラビア人のオサマ・ビン・ラディンだということに関係がある。ロサンゼルスにも中東系のイスラム教徒が数多く住んでいるが、彼らの教会や団体に無差別の嫌がらせ電話などが多数かかってきたため、改めてこのようなコメントを発表したのではないだろうか?かつて、パールハーバーが攻撃された時、アメリカ在住の日系市民がいわれのない差別を受
けたことを思い出す。


明日はどうなるのか?


ブッシュは、「犯人と犯人をかくまっている組織を確定次第、報復処置をとる」ことを国民に向かって発言した。おそらく数千人規模の貴い命が失われた。が、しかしこれが大規模な反撃の引き金となり、これ以上の被害が出ることになるのではないかと思うと空恐ろしい。