新しい「日系人」


ところで、アメリカには新しい種類の日系人がいる。
人によってこの定義は違うが、一般に
日系人=日本からきた両親、祖父母などを持つアメリカ生まれの日系アメリカ人を意味する。いわゆる、2世、3世、4世ゥ・のことだ。
(注:親たちが渡ってきた年度にもよるが、4世〜6世の世代が多い)

これらの人たちは外見と苗字のみは日本人のようだけれど、中身は
完全にアメリカ人。人によっては、アメリカ生まれなのに
「Where are you from?」と他の白人のアメリカ人に聞かれると
怒り出す人もいる。彼らにしてみれば、自分はアメリカ生まれだし、
自分の親もアメリカ生まれ。なのに、何代たっても白人からは
「外人」として扱われるのが我慢がならないというわけだ。
移民の多いカリフォルニアでは、こんな野暮な質問をする人は
少ないが、田舎の方の州に行くと、英語がまったくのネイティブであっても
「Your English is Great. Where did you study?」なんて
いわれてしまうこともあるらしい。(相手は誉め言葉のつもりで言っていても、移民の子供たちにとっては差別的発言以外のなにものでもない)

さて、いわゆる日系人と違い、日本から渡ってきたばかりの
人のことを誰が呼んだか「新1世」という。
アメリカからきてまだ3年の私だけど、もしこのままアメリカに
腰を落ち着けてしまったら、私もその「新1世」だ。

とここで閑話休題
あなたのまわりには、こんな言葉を使う人はいませんか?
「今日のスケジュールはタイトだけど、2時だったらアポイントメントを
スクイーズインすることはできるよ」
こんなカタカナ混じりの日本語を話す人には、外国生活が長かった
駐在員の人、帰国子女などが多いようです。いうまでもなく、
在米歴が長い日本人もそうです。
たとえば、うちの夫は日系2・5世(おじいちゃんの世代に渡ってきて
本来なら3世のはずだけど、お母さんが日本からきた人なので2・5世と
自分で名乗っている)ですが、義理の母の日本語がすごい。
「うちのネイバーにも昔はフレンドがたくさんいたんだけど、
ロングタイムアゴーにムーブしちゃったの」
最初聞いた時は、うぉ〜!と思ったものの、日系人の夫と暮らし始めて
自分もかなり同じ状態になってきているのに最近気が付いた。
うちの夫は日本語OKなので、ふだんの会話は日本語なのだが
(非常に便利である。必要な時は完璧な通訳になってくれる!)、
ちょっといりくんだことになると、こちらが気を使ってところどころ
英語を混ぜてしまう。こうやって、新1世の日系人ができあがっていくのか
と思う。

この英語混じりの日本を話す人、在米10年以上の人にすごく多い。
たとえば日系スーパーのおばさんたち。ガーデナ周辺に
住んでいる戦前に渡ってきた人たちは、かなりすごい日本語を
話す。ちなみに会話だけでなく、アメリカで発行されている現地の
日本語雑誌などを見てみると、ものによってはかなりすごい
言葉遣いをしており、日本からきたばかりの人にはへ?と思う
ようなものもある。
たとえばある雑誌の中の表現。
「この店は○○をディスプレイした楽しいダイナー」
「この仕事では給料のギャランティがないので、大変」
「今ならダウンペイメントなしでOK」
「厳しいアメリカ社会をサバイブする方法」
などなど。

というわけで、こういうちょっと変な日本語を話す人の
ことを日本人の日系人化現象と私は勝手に呼んでいる。
日系人の人に失礼だけど、他にどう呼んでいいのかわからないので
とりあえずこう呼んでいる。

さて、今日はフライデーだからオンザウェイでビデオでも
レンタルして帰ろっと。