オバマとハワイ

aloha_mode2008-11-02



大統領選挙まであと2日
誰が買っても負けても、今世紀最大の歴史的選挙になるのでは?といわれている今回の大統領選。政治にはほとんど関心のなかった私も、今回の選挙フィーバーにすっかり巻き込まれてしまい、Tシャツは買うはステッカーは貼るわ、家の庭にサインは掲げるわで、選挙権がないのに(グリーンカード所持者=日本国籍なので投票できません)にわか選挙オタクになってしまいました。


前回のゴア対ブッシュの時と比べても、今回の選挙の加熱ぶりは顕著で、一般に政治には無関心な若者たちがより熱心なのに驚きます。ロックスターのことを語るようにオバマについて語り、デザイナーズブランドのシャツを着るように、オバマのシャツを着て、若者たちがオバマ候補の選挙活動を支持しているのは、はたから見ていても、「これってすごいことかも?」と感動せずにはいられません。


アメリカでは中西部・南部を中心とする農村部に共和党支持者が多く、都市部は民主党支持者が多いのですが、私が住むカリフォルニア州民主党オバマ支持者が多い土地です。先日、CNNで人種別支持率を発表していたのですが、その結果に驚いてしまいました。


黒人のオバマ支持率が90%、ヒスパニックの支持率が70%と高いパーセンテージを示しているのに比べ、白人の支持率がわずか40%程度だったこと。マケインは唯一、白人層でのみオバマをリードしており、50%の支持率でした。アメリカの大半が「白人」であるということを考えると、ちょっとぞっとします。


人種問題と選挙戦への影響
カリフォルニアのようないろいろな人種が共存しているリベラルな州では、人種偏見は少ないので、オバマが黒人であるということをマイナスにとらえる人は多くないのですが、アメリカという1つの大きな国で考えた場合、やっぱり白人層、特に田舎の方ではオバマが黒人であるというだけで、「絶対イヤ」、ミドルネームがフセインというだけで拒絶反応を示してしまう人も多いのでは。


一般にマケインの支持者として知られるのは、宗教に熱心で保守的な古くからの富裕階級の人々(中絶絶対反対派が多い)、農村部の比較的貧しい白人層(人種差別者が多い)、そして軍の関係者(戦争がなくなると困る)。アメリカでは、高校中退者や大学に行くお金がない人が軍に入隊するというイメージがあるのですが、なぜか軍関係者といわゆる労働者階級の人にマケイン支持者が多いようです。


実際、共和党の集会では、「オバマはテロリスト」という過激なプラカードを持って応援にかけつける人が多いので有名。最近では、共和党の選挙オフィスでボランティアとして働いていた女性が、頬にBの文字を自分で切りつけ、顔をなぐられたようにメイクして警察に電話し、「オバマ支持者に乱暴された」と虚偽の訴えをしたことで失笑をかったのが記憶に新しいところです。


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79年プナホウスクール卒業
オバマとハワイについて書こうと思っていたところ、すっかり前置きが長くなってしまいましたが、よく知られているようにオバマはハワイ生まれです。ケニア出身のエリートの父(黒人)とカンザス州出身の母(白人)が、共に勉学のため滞在していたハワイ大学で出会い、そしてオバマが生まれました。<<オバマは本当にアメリカ(ハワイ)生まれなのか?大統領になる資格があるのか?(注:大統領になるには帰化したアメリカ人ではなく、生まれながらのアメリカ人ではないといけないという決まりがあるため。たとえばシュワルツェネッガーは、オーストリア人なので帰化してもアメリカ大統領にはなれません)ということを巡って、本当はケニア生まれなのでは?という騒動が、選挙前にありました。オバマはKapiolani Medical Center(カピオラニ病院)生まれで、アメリカのバースサーティフィケート(誕生証明書)にもハワイ生まれと記載されていますので、もちろんその疑惑はクリア。>>


しかし両親は2歳の時に離婚、その後母はインドネシア人と再婚し、連れ子のオバマと一緒にインドネシアに移住(6〜10歳)するのですが、10歳の頃、オバマだけ勉学のためにハワイに戻り母方の祖父母と一緒に暮らし始めます。ハワイの名門進学校として知られるプナホウスクールへは5年生の時から高校卒業までの8年間、マキキ地区ベレタニアストリートにある祖父母の家(Punahou Circle Apartments)から通いました(79年度の卒業生。プナホウスクールのサイトに公式ページがあります)


サーフィンをする大統領候補
最近、オバマが危篤状態にある祖母を見舞うためにハワイに戻ったというニュースがあったのですが、この祖母はいわばオバマの育ての母。オバマは卵巣ガンを患っていた実母の死に目に会うことができなかったため、今回はなんとしてでも会いに行きたかったのだそうです。


選挙戦の終盤戦で重要な時ですが、オバマは急遽予定を変更し、祖母を見舞うためにハワイに飛び、とんぼ返りで再びメインランドに戻ったことで、私はさらにオバマに好印象を抱くようになりました。


オバマは選挙戦では、ハワイ出身であることをほとんどアピールしませんが(実際マイナスにはなっても、プラスにはならないかも?)、ハワイには姉(再婚相手のインドネシア人が父)と祖母が住んでいるので、よく里帰りをするようです。8月に私がハワイに行っていた時、オバマも休暇でハワイを訪れており、なんと私がいたカイルアのビーチにも来ていたそうで、つかの間の休日、家族と海で遊んだり、ボディーサーフィンを楽しんだ模様。カハラホテル&リゾートで行われた寄付金集めのイベントでは、今年ミスアロハフラに輝いたクヒ・スガヌマがフラを踊り、ウィリーK、ライアテア・ヘルムなどが演奏した他、ダニエル・イノウエなど地元の名士が集まったそうです。


アメリカ大統領選挙まであと2日。先週日曜日、オバマの祖母は86歳の誕生日を迎えたそうです。健康状態が心配されますが、なんとか孫がハワイ初、黒人初の大統領になる日を見届けることができますように。

picture taken from punahou.edu site