最近読んでる本のメモ。
■ハワイ移民 修羅の旅路
エヴェリン・ヨキ・シロタ 栃窪宏男訳 時事通信社


LAのリトルトーキョーの図書館で見つけた本。
これまでに読んだ、ハワイ日系移民関連の本の中で最も良かった本。
日本の研究者が書いた本はやはりどうしても「聞き書き」になってしまい
いまひとつ面白みにかけるけれど、これは1920年代、30年代のハワイの
日系移民の生活や彼らの考え方がすごくよく分かる。著者は沖縄出身の両親から生まれた2世の女性。いつかは沖縄に錦を飾って帰ることを夢見ながら懸命に働く父と、ハワイ生まれで現代的な考え方の娘の対立。当時の学校の様子、故郷に帰る人といつまでたっても日本に帰れない人々の悲哀など、すごくリアルに描かれている。

この本で初めて知ったのは、当時内地の「日本」人たちがいかに沖縄出身者を差別していたかということ。海外に出てまで、そういう差別があったことに驚く。またこの時代、日本からやってきたばかりで、プランテーションなどで貧しい暮らしをしていた日本人移民までもが、ハワイアンをカナカと呼んで蔑んでいたことも、歴史上の悲しい事実。その他、マウイにパイナップル工場があった頃の話や、ワイルクの町の様子などが興味深い。著者の末の弟は、こちらも劇作家として著名なジョン・シロタ氏(レイラニのハイビスカス他)。現在、沖縄で客員教員をされているらしい。彼らの父が働きづめに働いても、家族での沖縄帰郷は叶えられなかったが、子供たちが日米文化の掛け橋になることで、きっと一世である両親は天国で喜んでいてくれるに違いない。

この書籍は、もともとは私家版としてプライベートに出版された本("The Blending" by Evelyn Yoki Shirota)を、編集者の栃窪宏男さんが翻訳して日本で本として世に出したもの。発行は1984年で現在はおそらく絶版。興味のある方は、ぜひ図書館などで探してみてください。



■何があっても大丈夫
櫻井 よしこ (著)

彼女の「ハワイ大卒」というプロフィールを見て、読んでみた本。
大当たりでした。ハワイがどうこうというより、今まであまり知らなかった櫻井よしこさんという人の魅力、そして彼女を「何があっても大丈夫」と、子供の頃から、そして現在も励ましながら育てたお母さんの素晴らしさに感動します。
櫻井さんは父が商売をしていた関係でベトナム生まれ。敗戦後、一家は日本に戻るものの、父と母は別居。しかし、お父さんがハワイで料亭を経営することになったため、呼び寄せられてオアフに渡ります。しかしそこで待っていたのは、朝から夜まで働きづめの日々。その後、父は人にだまされて店の経営権を失い、失意のうちに帰国。櫻井さんも「日本に帰れ」と言われるのですが、彼女は自らの意思でハワイ大に進みます。読んでみると分かりますが、その時点では、まだ彼女は「将来何をしたら良いかわからない」という普通の大学生です。そんな彼女が、どうして今日のような日本を代表するトップジャーナリスト*1になったのかが、この本の醍醐味ではないでしょうか。



教えてはてなダイアリー
コメント表示数を増やす方法を教えてください。

*1:彼女はハワイ大学を卒業後、英字記者のアシスタントとして修行し、その後独り立ちして自分で英文で記事を海外に送るフリーランサーになりましたが、はっきりいって欧米の大学を卒業した程度では、普通英語で記事を書けるほどの英語力はつきません(つく人もまれにはいますが、大学のレポートで書く英語と、「記事」の文章力はレベルが違うので)。相当努力をした、努力の人なのでは?と思います。本当にすごい!尊敬します。