アメリカでの就職方法


最近「アメリカでの就職活動」に関して聞かれることが多かったので、今日はそれについて。青田買いは別として、日本で就職活動の時期といえば大学4年に入ってからで、卒業と同時に一斉に「新卒」が就職するのだが、アメリカではそういう習慣はない。
なぜ卒業の時期に合わせて大量採用がないかというと、おそらくそれは何事も合理的なアメリカのこと、人を採用するのは何かに合わせるのではなく、「必要な時に必要なだけ採用する」システムが一般的だからではないかと思う。日本の感覚でいえば、「新卒採用枠」がなく、すべてが「中途採用枠」のみということになるだろうか。


いつでも就職活動が行えるのは便利だが、常に中途組と一緒に就職活動を行わなければならない新卒組はかなり大変だ。アメリカは学歴ももちろん考慮するが、それよりもっと重要視されるのは、職歴だ。しかも会社の名前より、今まで何をしてきたかという職務歴そのものを最重要視する。そのため、日本の大学生のように春、夏はバイトか旅行という人は少数派で、将来のビジネスマンを夢見ている人々は、大学に入ったと同時に良いインターンシップ先を探し、いかに良いコネと職歴を身に付けるかに余念がない。


日本人の留学生でも、卒業後はアメリカで就職したいと思っている人は、帰国せず必死でインターンシップをしている。基本的に留学生はアメリカで給与を得ることは禁じられているのだが、プラクティカルトレーニングといって一定の条件を満たしていれば1年〜1年半まで働くことができる。中には無給のインターンもあるが、それでも経験になるならと応募する人もいるらしい(アメリカ人の場合は、政府機関でのインターンは基本的に無給が多いが、応募は当然殺到しており、チャンスを得るだけでもかなり大変だそう)。


ちなみにアメリカで一般的に就職に関する情報を得るには、エージェンシー(派遣、正社員など幅広く扱っている)を利用したり、新聞などの求人広告を見たりする他、やはりインターネット利用が多い。アメリカでよく使われているのは、monster.com、headhunter.com、 dice.com(主に技術職)、hotjobs.comなど。これらのサイトは、サイト内に自分のアカウントを作成しレジュメを保管することができるので、自分で仕事を検索し直接送信することができる他、レジュメを公開し企業の人事担当者の目に触れやすくすることもできる。ただし、これらのサイトに出された職は何百とレジュメが殺到することが多いので、競争率は非常に高いようだ。またこれらの「募集している企業」にアタックする他、自分で働きたい企業を見つけ、そこの人事に直接アタックするという方法がある。通常、人事は送られてきたレジュメでよさそうなものは必ずキープしているので、チャンスがあれば、採用枠が空いた時に広告を出すより真っ先にインタビューしてもらえる確立も高くなる。


レジュメは同じものを異なる会社に何通も送りつける人がいるが、企業のカラーや業種によって「色」をつけるというのは常識。レジュメは1〜2枚が普通だが、これにカバーレターをつける。このカバーレターはなぜそこに働きたいか、なにができるかなどレジュメ以上に自分をアピールできる「レター」であるので、こちらも毎回書き換えした方がベターだ。またアメリカでは、プロのレジュメライターがリライトを請け負う場合も多い。


と、以上はアメリカでアメリカ人と同じように就職活動をする場合のプロセスだが、これがもし「日系企業」のみに的をしぼって活動する場合は少々異なる。日本の企業の場合は、現地の日系ジョブエージェンシーと直結している場合が多く、広告もアメリカ人向けのものにはほとんどでない。ちなみにアメリカの日系企業現地採用は、アメリカ企業より一般的に給与が低いが、これはエージェンシーが年俸の15〜30%を人を見つけた場合の成功報酬としてチャージしていることとも無関係ではないような気がする。