アメリカ大統領選挙に思う


アメリカ大統領が1ヶ月のすったもんだの末に、ブッシュに決定した。
たび重なる再集計と、いくつもの法廷闘争でゴアはねばったものの、
結局、何が真実か、ということよりも、時間を優先したという感じがぬぐえない。
誤投票をまねくような投票用紙の質の悪さに加え、集計に使われた
機械の精度もおそまつ。すべてがゴアに対して不利に働いたとしか
思えない選挙だった。

私はアメリカに住んでいるとはいえ、選挙権がないということと、もとから
選挙というものにはあまり関心がなかったのだが、今回の大統領選挙に
関しては、興味を持たざるを得なかった。

名前を連呼すれども、被選挙人の人となりがまったく見えてこない日本の
選挙活動に比べて、アメリカの選挙はいかに「人」を見せる選挙であることか。

ブッシュ、ゴア、いずれも私の好きな種類の「人間」ではないが、インドの首相の
名前も答えられないブッシュには、アメリカの代表たる資格があるとは思えないし、
ゴアに関しては、「インターネットは自分が発明した」「ラブストーリー(アメリカでメジャーな
小説。後に映画化)は自分がモデルだ(実際はルームメイトがモデル)」だなどと
嘘つきと思われても仕方のない失言エピソードには枚挙に暇がない。

それでも、政策に関しては個人的にはゴアの方がよかった。
というか、ゴア以外には選択肢はなかったといっても過言ではないくらいに
ブッシュの政策は今の時代に対応しているとは思えない、保守的な
中流階級家庭だけをターゲットとしていたものだった。

最高裁にまで上訴されたものの、結局はフロリダ州裁判所に決定はゆだねるとの判断が下された

。それ以前にゴアはフロリダ州で敗訴していたため、これが事実上の敗訴につながった。

アメリカでは多くの人が、ブッシュ支持者も含めて、もし再集計したら結果はどうなるかわからないとある調査で回答している。結果がどうでるかは誰にもわからない。しかし、国民の声であるはずの投票用紙1枚1枚がなおざりにされ、真実が故意に闇に葬られたような気がするのは私だけではないと思う。