アメリカ大統領選挙 オバマ対マケイン 結果は?


昨日に引き続き、今日も大統領選挙関係の話です。
日本でも、今回の選挙がどれだけBig Dealで、アメリカの国民にとって重要なイベントであるかということは報道されていると思うのですが、この現地の熱気はおそらく文字やテレビの映像だけでは伝わらないものがあるでしょう。


今回の選挙戦は、史上最高齢ながらも戦争のヒーローでタフさを強調するマケイン候補対、史上初の黒人で若者にもアピールするカリスマ指導者オバマの戦いということもあり、期日前投票だけでも過去最高を記録。ブッシュ政権への不満、特にイラク戦争への批判が高まっていることもあり、今の最大のテーマは「変化」。これまで選挙に行かなかった人も、オバマ陣営の熱心なキャンペーンによって重い腰をあげ、選挙に出向く人が多いようです。


ちなみにこれは私個人の意見なのですが、共和党のダークホースは、実はサラ・ペイリンなのでは?という気がします。というのは、マケインは72歳という年齢もさることながら、何度も癌の手術を行っていること、また父も祖父もマケインと同じくらいの年代で共に心臓疾患で亡くなっていることもあり、リタイヤしてストレスのない人生を送れば長生きできそうなものなのに…と思います。大統領選のパロディで人気の「サタデーナイトライブ」でも、このことはジョークのネタにされ、マケインと共に戦っているはずのペイリンが実は2012年、次の大統領選の準備にすでにとりかかっている!というのがネタになってました。


大統領選直前の週末は、サンタモニカのサードストリートプロムナードでも、両候補のブースが最後の選挙運動を行っていました。カリフォルニアは、ブルー・ステート(オバマが強い州。対してマケインが強い州はレッド・ステイトといいます)なので、オバマのブースには列ができ、大勢の人だかりができていたのに比べ、マケインのブースは閑散としていて、ボランティアの人も暗い雰囲気。とりあえずカリフォルニアでのオバマ圧勝は間違いなさそうです。


昨日、オバマの祖母が亡くなったことで、多くの報道記事が発表されました。
そのうちの1つで知ったのですが、なんとオバマのおばあちゃん、マデリーン・ダナムさん(昨日ダンハムと書きましたが、ダナムのほうが原音に近いようです)は、あのバンク・オブ・ハワイで女性ながらも、VP(バイス・プレジデント)にまで昇りつめた、キャリアウーマンだったそうなのです。なんとなく、ハワイに最初に住み始めたのはオバマの母で、それにつられて余生を過ごすために年をとってからハワイに移り住んだ、おとなしいアメリカの片田舎のおばあちゃんみたいな人を想像していたので、知れば知るほど驚きの連続です。


50年代後半にハワイに移り住んだダナムさん一家(マデリーン&スタンレー夫婦と娘=オバマの母、アン)。マデリーンさんは1960年(38歳の時)からバンク・オブ・ハワイに働き始め、10年後、48歳の時にVPに昇進し、その後、1986年に62歳でリタイヤするまで25年に渡って勤め上げたそうです。当時の上司も部下も、「仕事熱心で、厳しい人だった。だからこそ、高いゴールを掲げ、それに向かって仕事を進めることができた」と彼女のことを評しています。


さまざまな記事から計算すると、オバマが祖父母と一緒にマキキのアパートに住んでいたのは、オバマが10歳である1971年から8年間なので、マデリーンさんはVPとしての仕事をこなしながら、孫のオバマを育て、学費が高いことで有名な私立のプナホウスクールに通わせていたんですね。


オバマは昨日、祖母が死去したことをノースカロライナ州で行われたスピーチの中で以下のようにふれました。

「早朝、祖母が亡くなりました。彼女については、多くのことを話すつもりはありません。なぜならそれはつらすぎるから。でもこれだけは知ってほしい。彼女の名前は、マデリーン・ダナム。カンザスの小さな町で生まれ、大恐慌と2つの世界大戦を経験しました。彼女は謙虚な人で、アメリカ中にいる、いわば多くを語らない"静かなヒーロー"の一人でした。これらの人たちは有名ではありません。名前が新聞に出ることもありません。でも日々、懸命に働き、家族を支えています。子供や孫のために自分を犠牲にし、表舞台には出ず、ただ正しいことをしようと努力を続けるだけです。今日集まってきたくれた中には、同じような"静かなヒーロー"が大勢いるでしょう。母、父、祖父母たち。彼らの喜びは、子供や孫、曾孫がより良い人生を歩むことです。それがアメリカなのです。そのために私たちは今、戦っているのです。選挙まであと1日です。アメリカ中に散らばった、これらの静かなヒーローに敬意を表し、彼らの犠牲を無駄にしないために戦いましょう」

オバマの家族は、両親ともに決して裕福な家の出ではありません。いわば努力して成功した家系で、特に教育に熱心だったそうです。たとえば、オバマの異父妹はハワイで教師として働いていますが、見た目、ごく普通の人ですが、コロンビア大学を卒業し、ハワイ大学マノア校でPh.Dを取得。オバマの母も、ハワイ大学に学び(ここでケニアから留学してきていたオバマの父と出会う)、結婚、離婚を繰り返した後も決して教育の機会をあきらめることなく、大学に戻り、40代になってから人類学の分野でPh.Dを取得、インドネシアにたびたび出向き、農村開発や人権運動などに関わった立派な人物です。オバマと一緒に暮らした期間は短いようですが、こういう生き方をした女性が、息子に与えた影響は大きいでしょう。


多くのトラブルと「疑惑」が残った、前回の選挙戦。今回は国民の意思が正しく反映された公正な選挙が行われますように。



ホノルルアドバタイザーの記事
http://www.honoluluadvertiser.com/article/20081104/NEWS01/811040331/1001

スターブルティンの記事
http://www.starbulletin.com/news/hawaiinews/20081104_Praise_and_respect_roll_in_for_Dunham.html
http://www.starbulletin.com/news/Madelyn_Dunham_blazed_a_trail_for_women_in_banking.html

KHONの記事
http://www.khon2.com/news/local/33812714.html

KGMBの記事
http://kgmb9.com/main/content/view/11058/40/